米国憲法「銃を所持する権利」

フロリダでの高校銃乱射事件をきっかけに、銃所持規制の声が高まる米国

2月14日、米フロリダ州パークランドにあるマージョリー・ストーマン・ダグラス高校で発生した元生徒による銃乱射事件をきっかけに、米国内で銃所持規制の世論が高まっています。

拘束されたニコラス・クルーズ容疑者は同校を退学処分で去った元生徒で、17人の犠牲者が出ました。トランプ大統領は事件後、教職員に抑止力として銃所持を認めるというアイデアを示して、全米に議論を巻き起こしました。高校で実際に事件に直面した生徒たちがデモを起こしたことが共感を呼ぶなどして、米国内での銃所持規制の機運は、近年にない高まりを見せているようです。

 

米国で銃所持が認められている根拠=アメリカ合衆国憲法修正第2条の原文

私は「そもそも、米国で銃所持が認められている根拠をしっかり知りたい」と考えて、調べてみました。

根拠は、アメリカ合衆国憲法のある条文でした。米国は憲法によって、一般市民に銃を所持する権利が認められています。アメリカ合衆国憲法修正第2条(The U.S. Bill of Rights / Amendment Ⅱ)が、当該の条文です。(同修正は市民の基本的人権を定めるもので、1791年に全10条の修正として施行されました。修正第2条は、その中の2番目の条文です)

以下、英語の原文と和訳です。

A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed.

The U.S. Bill of Rights / Amendment Ⅱ

(出典は米国国立公文書館サイト

規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。

(和訳の引用:ウィキソース「アメリカ合衆国憲法」)

 

憲法解釈の議論では、同条文は「銃所持は民兵を組織する州に認められる権利で、一般市民には認められないのではないか」という説もあるそうです。ただ、今ある現実としては、この条文を根拠に、米国では一般市民も広く個人的に銃を所有しています。文化的な背景には、米国が北米大陸を東から西へと開拓していった建国の歴史において、開拓者たちが自衛の手段とした銃所持が、精神的に根付いているともいわれています。

米国の銃社会を見て思う「憲法の力」

私が思うのは、憲法が国家のありようを規定するその力です。アメリカ合衆国憲法修正第2条自体は、27の単語で構成される1センテンスにしかすぎません。だがこの27単語の1センテンスが憲法に連なった瞬間から、米国は「一般市民が銃を所持する社会」として歩み始めました。

施行されてから127年後に発生した、フロリダ州の高校で起こった銃乱射事件。現在地点で立ち止まり、歩んできた道を振り返り、なぜ惨劇は発生したのかを見定めようとすると、今ははるか遠くになった出発点に刻まれた1センテンスが、そこにあります。