デーモン閣下とNHK・Eテレアニメで発生した肖像権問題
アーティストのデーモン閣下が最近、NHK・Eテレのアニメに、自身の肖像権が無許可で使用されたと訴える出来事がありました。
指摘されたアニメは放送中の「ねこねこ日本史」(毎週水曜18:45~)。2/28に放送した第64話で、高杉晋作のキャラクターがデーモン閣下を彷彿とさせるデザインで登場しましたが、番組側からの許諾の依頼が事前にデーモン閣下にありませんでした。デーモン閣下は自身のブログ「デーモン閣下の地獄のWEB ROCK」でこの事実を明かし、
<君たちは天下の公共放送のスタッフだぞ。何で当たり前の『許諾確認の段取り』が踏めなかったのかね?>
などと、厳しく批判しました。
(後日、番組側が公式サイト上で正式に謝罪)
デーモン閣下は大相撲のゲスト解説やEテレの朝の子ども向け番組「0655」(月~金、06:55~)で楽曲を歌うなど、基本的にNHKとは友好的な関係です。当事者どうしの水面下の話し合いで事を収めることもできたはずですが、デーモン閣下は敢えてこの一件を世に問うたようです。
デーモン閣下の主張は、肖像権の概念を学ぶ絶好のテキスト
デーモン閣下はさらに後日、ブログで肖像権などに関する自らの考えを発表しました。一連の出来事に対し、ウェブ上などで「了見が狭い」というような感想が見られたためです。
デーモン閣下の考えがまとめられたこの文章、肖像権などの概念を押さえる上で非常に参考になるテキストです。ぜひ一度、お読みになることをおススメします。
原文はこちら↓
「デーモン閣下の地獄のWEB ROCK2018/3/28記事」
要旨を簡単にまとめると、
・誰かの商標、肖像、意匠などを第三者が商業的に利用する場合は、許諾は不可欠
→「ねこねこ日本史」はこの”線引き”に抵触した
・必ずしも商業的な利用とはいえない場合は、ケースバイケース
・商業的か否かに関わらず、諸権利の保有者に一定の敬意を払った表現が望ましい
といったところでしょうか。
私も「漫画やアニメのパロディ表現は一般的に大らかに認められていると思うが、NGケースとの線引きはどのあたりにあるのだろう?」と疑問に思うことがたまにありました。デーモン閣下のお言葉を拝読して、このあたりがかなりスッキリと理解できた次第です。
デーモン閣下が肖像権に精通するバックグラウンドは?
ブログの文章を読む限り、デーモン閣下は商標、肖像、意匠の取り扱いに非常に精通していると思われます。デーモン閣下は地獄からやってきたそのお姿や唯一無二の存在感で、長年に渡り現世で芸能活動をしています。おそらく、これまでにもこうした肖像権などの問題に触れる実践的なケーススタディが豊富にあったのではないでしょうか。
ブログで示されているデーモン閣下の線引き自体は、人気アーティストにも関わらず寛容で懐の深いものだと感じます。「それでも、吾輩の器の大きさに甘えて何でもアリだと思うなよ…!」というあたりが、今回の出来事で閣下が敢えて地獄から声を上げた本音なのではないでしょうか。